無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「あ、そういえば学校一緒だから知ってるのね」
「もっと前に言ってほしかったよ……」
「凛李ちゃん、瑠月ちゃん、急なお願いでごめんね?」
柊木善のお母さんが申し訳なさそうに謝ってくれたので、私は「大丈夫です。こちらこそ、よろしくお願いします」と社交辞令で言った。
柊木善のお母さんと私のお母さんが高校生のころからの友達らしく、そこまで仲のいい関係の人の頼みなら断ることもできない。
両親たちはしばらく会えないからか、それからの話がすごく盛り上がっていた。
「どういうこと……?」
「私だって知らないよ。このこと刀夜くんから聞いてないの?」
「聞いてないよ……」
私と瑠月はコソコソと小さな声で話した。
話の区切りがちょうど良さそうなところで瑠月が「柊木くんの部屋になるところ案内してくるね」と言って、柊木善と私の腕を引っ張った。
え⁉︎私も⁉︎
私たちは柊木善の部屋になる予定の2階にある空き部屋へと連れて行かれた。