無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
ごめん、待てなかった
ーー文化祭2日目。
結局、昨日は全然眠ることができず……私は生まれて初めて寝坊をした。
瑠月は先に行ったようで、私は急いで支度をしてリビングへ。
朝ごはんを食べる時間もないので、お母さんに顔だけ見せてそのまま玄関へと向かった。
善ももういないよね……?
さすがに昨日の今日で顔を合わせづらい……。
私は玄関に座り、靴を履きはじめた。
「おはよ」
背後から声が聞こえ勢いよく振り向くと、そこには眠そうにあくびをする善がいた。
驚く私とは対照的に、いつもと変わらぬ表情で私のとなりに座り靴を履く善。
「……行かないの?」
「……行く」
先に玄関の扉を開けた善は、まだ座っている私にそう声をかけてきた。
……あぁ、そうだ。
この人には気まずいという概念がそもそもないんだ。
それか、昨日のことをまるっきり忘れてしまっているとか……。