無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

ごめん、待てなかった


ーー文化祭2日目。

結局、昨日は全然眠ることができず……私は生まれて初めて寝坊をした。

瑠月は先に行ったようで、私は急いで支度をしてリビングへ。

朝ごはんを食べる時間もないので、お母さんに顔だけ見せてそのまま玄関へと向かった。

善ももういないよね……?

さすがに昨日の今日で顔を合わせづらい……。

私は玄関に座り、靴を履きはじめた。



「おはよ」



背後から声が聞こえ勢いよく振り向くと、そこには眠そうにあくびをする善がいた。

驚く私とは対照的に、いつもと変わらぬ表情で私のとなりに座り靴を履く善。



「……行かないの?」

「……行く」



先に玄関の扉を開けた善は、まだ座っている私にそう声をかけてきた。

……あぁ、そうだ。

この人には気まずいという概念がそもそもないんだ。

それか、昨日のことをまるっきり忘れてしまっているとか……。

< 91 / 390 >

この作品をシェア

pagetop