無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「柊木くんのことが好きなの……っ」
切なそうにそう言って善に抱きつき、上目遣いで善のことを見る峰本さん。
あぁ、なんだろう。
すごく胸が苦しい……。
自分の好きな人が他の人に告白されているところを見ると、こんなに胸が締めつけられるのかと知った。
峰本さんは私にはない女の子らしさがある。
顔もかわいくて、善の隣を歩くなら峰本さんのような人が1番いいんだろうな……。
こんな人からの告白を断る人なんているの?
でも……断ってほしい。
付き合ってほしくない……。
そんな風に自己中な考えが思い浮かぶほど、私は善のことが好きなんだ。
けど、わざわざ私が行って中断させに行くの?
そんな勇気……私にはない。
止めたい気持ちは山ほどあるけどさすがに無理だ。
そう思ったら急に善の返事を聞くのが怖くなり、私は逃げるように図書館から離れた。
そのまま紀衣ちゃんのところに戻った。
「どうだったの……?」と、私を見るや否や心配そうに聞いてくる紀衣ちゃん。