バースデーカード
「紀一は一体どこにいたんだろうな?」


和樹は首をかしげている。


全員で職員室へ来て、新から逃げてから紀一の姿は見ていなかった。


うまく逃げたのだと思っていたけれど、ここで新に見つかって死んでしまった。


和樹は首をかしげながらも、椅子にかけてあった先生の上着を紀一の顔にかけた。


1人、また1人と殺されていく。


新と同じ顔をした人物は、まるで遊んでいるようにあたしたちを殺しにくる。


そのことを改めて理解させられて全身が冷たくなった。


あたしたちは紀一に手を合わせ、そして立ち上がった。


友人が死ぬことは悲しいけれど、いつまでもここにいるわけにはいかない。


下手をすれば自分たちの命が危ないのだから。


「どこへ向かうの?」


廊下へ戻り、和樹に聞く。


「3階の1年C組に行こうと思う」


それはあたしたちの教室だった。


「C組になにかあるの?」


若菜からの質問に和樹は左右に首を振った。


「わからない。だけど、ここにいる全員がC組だ。一度原点に戻ってみてもいいと思う」


和樹は説明しながら先を急ぐ。


階段にさしかかり、階下を見下ろして誰もいないことを確認した。
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