バースデーカード
足音を殺して階段をあがっていく。


一段上がるたびに緊張で呼吸が乱れる。


上履きが床にこすれる微かな音が気になって、冷汗が流れていく。


どうにか3階の廊下までたどり着いたとき、大きく息を吐きだした。


深呼吸をして鼓動を整える。


3階の廊下には誰の姿もなかった。


外から差し込む月明かりで廊下は思っていたよりも明るい。


階段に一番近いのはA組だ。


あたしたちC組は3階の中ほどに教室がある。


先へ足を進めながらあたしは外へ通じている窓に手をかけてみた。


ここもしっかり鍵がかけられている。


しかしクレセント錠は開いている状態になっていて、やはり見えない力があたしたちをここに閉じ込めているのだとわかった。


和樹は相手は人間かもしれないと言ったが、これは人間ができる技じゃない。
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