バースデーカード
そしてあたしたちはC組の前にたどり着いた。


ドアはしっかりと閉められている。


和樹が前に立ちドアに手をかけた。


あたしは緊張から若菜の手を強く握りしめた。


若菜も握り返してくる。


このドアを開けたら新が飛び出してくるんじゃないか。


包丁を握りしめ、突き刺してくるんじゃないか。


そんな妄想が頭の中を駆け巡っていく。


心臓は早鐘を打ち、呼吸は小さくなっていく。


今にも倒れてしまいそうな中、和樹が勢いよくドアを開いた。


……そこに広がっている光景はいつものC組だった。


昨日の放課後までとなんら変わりはない。


誰もいないことを確認して足を踏み入れると、花の香りがした。


クラスメートが持ってきてくれて、窓辺の花瓶に飾ってあるのだ。


それもいつもと変わらない匂いで、なんだか不思議な気分になった。
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