バースデーカード
「これからどうする?」


気を取り直してあたしは言った。


C組へ戻ることでなにかがわかるかと思っていたけれど、懐かしい記憶がよみがえってきただけだった。


「ちょっと、新の机を見させてもらおうよ」


そう言ったのは若菜だった。


「勝手に確認していいのかな?」


あたしは首をかしげてそう言ったが、新が死んでから荷物はすべて持ち帰られているはずだ。


机はまだそのまま残っているけれど、中は空っぽだろうと推測された。


若菜が床に膝をついて机の中を確認する。


「なにか残ってるか?」


和樹の質問に若菜は黙って左右に首を振った。


やっぱり、新の私物は全部持ち帰られているのだろう。


ここでもなんの手がかりもなかった。


そう思って落胆しかけた時だった。


「あれ?」


若菜が呟き、首をかしげた。


「どうしたの?」


「奥になにかあるみたい」


そう言って右手を机の中に入れて伸ばす。


「なにか、紙みたい」


若菜は指先でクシャクシャになった紙をつまんで引きずりだした。
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