バースデーカード
よくプリントとかが机の奥まで入ってクシャクシャになってしまうことがあるから、それだろう。


先生は机の奥まで確認せずに、荷物を返したみたいだ。


若菜は月明かりが差し込む窓辺へと移動して紙を広げた。


あたしと和樹も横に立ち、それを見守る。


プリントにしては随分と小さな紙だ。


なんだろう?


シワが伸びた紙には何も書かれていなくて真っ白だ。


しかし、若菜がそれをひっくり返したとき、写真であることがわかった。


「これって、新?」


横から覗き込んでそう呟く。


写真に写っているのは確かに新に見える。


場所は病院みたいだ。


でも、それは不思議な光景だった。


「新が2人……?」


和樹が呟く。


若菜を見ると、呆然とした表情を浮かべている。


写真に写っていたのはどこかの病院にいる新で間違いなさそうだ。


少し幼い顔立ちだから、中学生のころかもしれない。
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