バースデーカード
俺のせいか?


俺が新を殺したのか?


あの男に頼んだから……?


なにもわからなくて、頭を抱えて泣きじゃくった。


俺の代わりに、新は死んだ。


それから数日が過ぎていった。


あの男は1度だけ俺の前に現れて約束の金を手渡した。


男に色々と聞きたいことがあったけれど、恐怖心の方が勝ってしまってなにも聞くことはできなかった。


ただ、この男に逆らったらいけないと、本能的に感じていた。


『安心して。俺は本当に君のファンなんだ。だからこれ以上君に関わることもない』


男は最後にそう言い残して病院を出ていった。


そしてその言葉は本当だった。


俺が回復して退院する段階になっても、男は姿を見せなかったのだった。
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