バースデーカード
目が覚めたらここにいた~結子サイド~
あたしは信じられない面持ちで新に似た人物……森戸旬を見つめていた。


「退院してからの回復は早かったよ。さすが双子の弟の臓器だけあるよな」


旬はその場で飛び跳ねて体の調子を確認している。


それじゃなくても、旬はここで会ってから何人も人を殺し、俊敏な動きを繰り返している。


退院してすぐの体だとは思えなかった。


「まぁ、リハビリも相当がんばったけど。これからは俺、明るい世界で生活していくんだし」


「なにが明るい世界よ!」


叫んだのは若菜だった。


若菜はさっきからガクガクと全身を震わせている。


それでも旬をきつく睨みつけ続けていた。


「あんたが新を殺したんだ!」


若菜は叫ぶと同時に、和樹が持っていた包丁を奪い取っていた。


止める暇もなく、包丁を握り締めたまま旬へと走り出す。


「無駄だよ」


旬はクスッと笑みを浮かべたかと思うと、右手を後ろに回した。


なにか持ってる!


そう思った次の瞬間月明かりに光る刃先を見た。


それはまだ使われていない刃物で、若菜の体を難なく突き刺した。
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