バースデーカード
「そうか。あのハガキは新本人が書いたんだな。みんなで花火をしようと思って、夜中の12時に決めたんだ。もしかしてサプライズのつもりだったのか?」


新は頷く。


そうだったんだ……。


それなのに、旬は新の呪だと勘違いしてしまい、こんなことになっただなんて……。


やるせなくて胸が痛んだ。


同時にすべての謎が解けて全身の力が抜けていく。


「くそっ! 離せよ!」


旬が暴れる。


新が旬の腕を更に強くひねりあげた。


「ここは新に任せて、行こう」


和樹があたしの手を握り締めて、2人でかけだした。


廊下を走り、階段を駆け下りて、昇降口へと向かう。


扉を開ける瞬間旬の壮絶な悲鳴が聞こえてきて一瞬足を止めた。


しかし、振り返らない。


あたしと和樹は2人で扉を大きく開いた。


朝の冷たい空気が頬を撫でて、朝日が周囲を包み込む。


あたしと和樹は、早朝の街へと駆けだしたのだった……。
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