バースデーカード
『それが、どういうわけか外を歩いていたみたいなんだ』


それは不可解な出来事だった。


風邪で寝ているはずだった新が交通事故に遭った。


なんらかの理由で、たとえば薬を買いに行ったとか、病院へ行ったとか、外へ出たのかもしれない。


でも、やっぱりあたしたちには現実感のない話だった。


しかし、7人全員で学校を早退して新が搬送された病院へ行くと言っても、先生は止めなかった。


その瞬間、嫌な予感が胸をよぎったのを、今でもよく覚えている。


新は危ない状態なのだろう。


だから7人全員で早退することを先生は許したのだ。


それからあたしたち7人は搬送先の総合病院へと向かった。


院内には沢山の患者や見舞客がいたけれど、そのどれもが現実的なものじゃなかった。


まるで、夢を見ているようだったのだ。


あらかじめ先生から聞いていた病室へと向かう。


新の手術はすでに終わり、個室にいるようだ。
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