バースデーカード
職員室に入って窓辺へと向かう。


壁に設置されているボックスの中に鍵は保管されていた。


「あれ?」


灰色のボックスを開けて確認した瞬間、首をかしげた。


「どうした?」


後ろから和樹に声をかけられ「何種類かなくなってるみたい」と、答えた。


ボックスの中にあるフックには、鍵か引っ掛かっていない箇所があった。


しかし、昇降口の鍵をみつけることはできた。


あたしは素早くそれを手に取り、握り締めた。


「なにか妙だな。でも、とにかく鍵はあってよかった。あとは電話だな」


和樹がそう言うよりも早く、笑が固定電話を使って外に連絡をしていた。


しかし、何度もフックを上げたり下げたりしている。


次第に焦りの色を見せる笑に、また嫌な予感がしてきた。


「笑、どうした?」


聞いたのは幹生だ。


笑は青い顔で左右に首をふり、受話器を幹生に渡した。


幹生は受話器を耳に当て何度か番号を押したあと「通じない」と、小さな声で呟いた。


やっぱり……。


こんなときの嫌な予感はどうして的中してしまうんだろう。


泣いてしまいそうになる。
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