バースデーカード
ふと視線を上げると廊下の奥の木工教室が視界に入った。


主に土木科の生徒たちが使っている教室で、普通科のあたしには縁のない場所。


でも、木工教室なら武器になるものがありそうだ。


「ねぇ和樹、あそこに行ってみない?」


木工教室を指差して言うと、和樹は大きく頷いた。


「いいな。ノコギリとか、トンカチとか、いろいろありそうだ」


あたしたちはさっそく木工教室へと足を進めた。


近づくと木のにおいが強くなってくる。


ここだけ戸も床も木製になっていて、他の教室とは雰囲気が違う。


今度はあたしが戸に手をかけた。


どうか、開きますように……!


願いを込めて力を込める。


戸はガタッと少し音を立てたが、びくとも動かない。


サッと血の気が引いて行くのを感じた。


まさか、この教室もダメなの……?
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