バースデーカード
千秋の死体を通り過ぎ、さっき開かなかった扉に飛びつくようにしてカギ穴を探す。


「どこだよカギ穴……」


月明かりだけでカギ穴を探すのが難しくて、和樹のイラついた声がする。


「大丈夫だよ、落ちついて」


言いながら、あたしもカギ穴を探した。


と言ってもカギ穴の場所なんて限られている。


扉の中央か、下か上。


それらを探してみても、鍵を差し込める場所はどこにも見当たらない。


「なんでないの?」


いくら探してもカギ穴はなくて、次第に汗が滲んできた。


「これも新の仕業か?」


和樹が呟くので、あたしはブルリと身震いをした。


あたしたちを閉じ込めるために、カギ穴を無くした……?


「あ、新がそんなことするわけないよ」


言いながらも、自信はなかった。
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