バースデーカード
高校に入学してから、ずっと。


だから今回の出来事は若菜にとってすごく悲しいことだと思う。


新が成仏できずに悪霊となり、あたしたちを襲うなんて……。


「そっか」


和樹は頷きながらもなにか気になっているようで、難しい顔をしている。


「どうしたの?」


「いや、調理室と木工教室の窓を割ってみればよかったと思って」


「でも、割れないんじゃない? 昇降口や廊下の窓だって割れなかったし」


「だよな……」


それでも和樹は納得いかない様子で首をかしげている。


なにがそんなに気になっているんだろう?


「新が鍵をかけているのだとしたら、どうして他の教室は鍵が開いてるんだと思う?」


「それは、武器を入手させないようにしたいからでしょう? 他の教室では武器らしい武器なんて手に入らないし」
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