バースデーカード
☆☆☆

職員室に近づいてきたとき、右手に見える応接室に人影が見えた気がして、あたしは立ちどまった。


後ろから追いかけてきていた和樹も人影に気がつき、足を止める。


2人で息を殺し、身を低くして様子をうかがった。


中にいる人影はこちらには気がついていないようで、行ったり来たりを繰り返している。


新だろうか?


それとも、バラバラになってしまった仲間の1人か。


どっちにしても誰がいるのかわからない限り、声をかけることはできない。


あたしと和樹は足音を忍ばせて応接室を通り過ぎることにした。


応接室のドアの前をもう少しで通り過ぎる……そう思った直後だった。


人影がドアに近づいてきて、迷うことなくドアを開けたのだ。


ドアが開く音がすると同時にあたしはその場に尻もちをついていた。


悲鳴を上げそうになり、両手で自分の口を押さえる。


同時に和樹があたしの上にかぶさるようにしてかがみ込み、守ってくれた。


すべてがスローモーションのように見えた。


応接室から出てきた人影があたしたちに驚き、尻もちをついたのだ。


「痛ぁ……」


痛みにあえぐその声には聞き覚えがあって、キツク目を閉じていたあたしはそっと開いた。
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