バースデーカード
「知らなかった?」


笑は瞬きをして聞いてくる。


「聞いたことないよ」


「たぶん、あたしは新の幼馴染だし、こんなんだし、相談しやすかったんだと思う」


笑はそう言って自分の体形を見て微かに笑った。


「何度か若菜と2人でデートしたいんだけど、どうすればいいと思うって相談されたことがあったよ。あたしは2人が両思いなことは知ってたから、なんでもいいから誘ってみなよって言ったんだけどね」


「そうだったんだ……」


相思相愛だったのなら、若菜が新の行動を手伝ってもおかしくないかもしれない。


考えは悪い方、悪い方へと流されていく。


「とにかく、新と若菜には気を付けた方がよさそうだな」


和樹の言葉を、あたしはもう否定することもできなくなっていたのだった。
< 60 / 180 >

この作品をシェア

pagetop