バースデーカード
新は包丁の先をこちらへ向けてゆっくりと向かってくる。


「あ、新やめて!」


叫んだのは笑だった。


笑は真っ青な顔で新を見上げている。


新の視線が笑へ移動した。


その瞬間、氷ついていた体が微かに動いた。


今のうちに逃げられる!


そう思い、数歩後ずさりをした。


「なんでこんなことすんの!?」


笑はなお叫ぶ。


新は完全に笑の方を見て、そちらへ向いて歩き始めていた。


笑、やめて!


叫ぼうとした次の瞬間、目にもとまらぬ早さで包丁が笑の首に突き刺さっていたのだ。


笑が大きく目を見開く。


あたしは呆然としてその光景を見つめていた。


新は勢いよく包丁を引き抜いた。


途端に噴水のようにあふれ出す血。


それはあたしと和樹の体も濡らしだ。


「あ……らた……」


笑の体はそのまま横倒しになって倒れた。
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