バースデーカード
「千秋、和樹が困ってる」


2人の間に割って入ったのは若菜だった。


若菜に体を押された千秋は「あんっ」と色気のある声を出して頬を膨らませている。


「いいね海。あたしも行きたいなって思ってたの」


あたしはすぐにそう言った。


嘘っぽく聞こえたかもしれないけど、事実だ。


「だろ? 海ならここにいる全員で行っても思いっきり遊べるもんな」


和樹の言葉に一瞬表情が曇りそうになる。


どうせなら2人で行きたいなぁ。


なんて思っても、口には出せない。


「そうだね。7人もいるんだもんね」


コクコクと頷いて和樹に賛同する。


「海と言えば海の家だよね!」


楽しそうな声をあげたのは笑だ。


口の端におかしのカスがついている。


「ラーメンにやきそばにかき氷、なにを食べようかなぁ」


目を輝かせて食べ物のことばかり想像している笑に千秋は呆れ顔を浮かべている。
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