バースデーカード
幹生は千秋と同じように包丁で刺され、すでに息絶えていたのだ。


「うっ」


吐き気がこみ上げてきて、両手で口を覆ってどうにか押さえる。


衝撃と気持ち悪さで涙が浮かんだ。


なんでだよ。


なんで幹生まで殺すんだ!


幹生と新が同じゲームの話題で盛り上がっているところを何度も見たことがあった。


2人で遊びに出かけることも多かったみたいで、8人の中じゃ新と幹生は親友と言える関係なのだろうと勝手に思っていた。


でもこんなにアッサリ殺すなんて……。


新からすれば幹生のことなんて大切な存在じゃなかったってことか?


考えれば考えるほどわからなくて、メマイを感じて近くの机に手をついた。


とにかく幹生をこのままにしておくのはかわいそうだ。


そう思って椅子に掛けられている膝かけに視線を移した。


せめてなにかかけてやろう。


そう思って手を伸ばしかけたが、隣の応接室からガタンッと物音が聞こえてきて手をひっこめていた。


な、なんだ今の音は!?


突然の異音に心臓がひとつ大きく跳ねあがる。


血液が沸騰したように熱く、それなのに全身が冷えていく感覚がした。
< 75 / 180 >

この作品をシェア

pagetop