バースデーカード
しかし、結子は動こうとしない。


なにしてんだよ!


早く逃げろ!


心の中で願っても、結子の気持ちはよくわかった。


さっき応接室で物音がしたときの俺と、全く同じ状況なのだ。


新は笑みを貼り付けて、結子に包丁の先を突きつける。


それは死刑宣告のようなものだった。


新は無言で次はお前を殺すと語っている。


次の瞬間だった。


和樹が近くにあった椅子を握りしめ新へ向けて振り下ろしたのだ。


ゴキッと音がして、新が横倒しに倒れた。


それは予想外の展開で、俺はポカンと口を開けて見つめていた。


新はなかなか起き上がらない。


その隙に和樹と結子の2人は職員室を逃げ出したのだった。
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