バースデーカード
混乱している間に、新が人の気配を感じたのかカッと目を見開いたのだ。


同時に俺と視線がぶつかる。


新の口角がニィッと上がる。


やばい!!


咄嗟に立ちあがろうとするが、うまくいなかい。


恐怖でまた体がうまく動かなくなっている。


くそ。


動け!


自分の体を支えるようにしてどうにか立ち上がる。


けれどそれよりも早く新が立ちあがり、俺の前に立ちはだかっていたのだ。


こいつ、なんでそんなに俊敏な動きができるんだよ……!


いつの間にか床に転がっていた包丁まで握りしめられていて、全身から血の気が引いて行った。


このままじゃ殺される……!


新の真横を走って逃げようと体制を整えたとき、蹴りが飛んできた。


新の足は俺の腹部に直撃する。
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