バースデーカード
それは入学式が終わってすぐのことだった。


1年C組の教室で学校生活や授業についての説明を受けていた時。


若菜は新生活に心を躍らせると同時に、新しい友人を作ろうと張り切っていた。


自分と似た雰囲気を持つ子はいないだろうか。


一緒にいて楽しそうな子はいないだろうか。


そんな気持ちでクラスメートたちのことを観察していた。


その中でひときわ目立って見えたのが新だったそうだ。


若菜には新の周りだけキラキラと輝いているように見えた。


先生の話を聞いているその横顔に引きつけられる。


言わば一目ぼれだった。


一目見ただけで誰かのことを好きになったなんて、生まれて初めてのことだった。


新の顔を見ているとドキドキする。


ちょっと視線がぶつかるだけで緊張して、恥ずかしくて、すぐに視線を反らせてしまう。


今までだって好きな人くらいいたけれど、ここまで意識してしまう異性は初めてだった。


それから若菜はあたしたちと仲良くなり、よく会話をするようになった。


『結子、今日一緒に帰らない?』


ある日の放課後、若菜がそう声をかけた。


あたしは二つ返事でOKしたけれど、若菜はどこか気恥ずかしそうな表情を浮かべていていた。
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