バースデーカード
先生の言葉に若菜は目を見開き、動きを止めた。


あたしも驚いて声が出ない。


『新は風邪で休んでたんじゃないんですか?』


信じられない。


そんなニュアンスで若菜が聞く。


『それが、どういうわけか外を歩いていたみたいなんだ』


先生は眉間にしわを寄せて答えた。


それってどういうこと?


質問したいけれど、それよりも新の容態が気になった。


『病院を教えてください!』


もうお昼のお弁当のことなんてどうでも良かった。


若菜が泣きそうな顔で先生に訴える。


先生は頷き、総合病院の名前を教えてくれた。


それからあたしたち7人は全員で早退し、病院へ向かった。


それを引きとめられなかったことに、なんだか嫌な予感を覚えていた。


だけどただの気のせいだと思い込んだ。
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