恐怖ダウンロード
それから放課後になるまでは何事もなく過ぎていった。


愛子への恐怖が楽しみだったのに、ちょっと残念だ。


ホームルームでは先生が長々と学校生活の注意点を話していた。


タバコは吸っちゃいけないとか、怪我をしないようにとか。


まるで子供に言い聞かせるような時間が続く。


あたしはつまらなくなってあくびをかみ殺した。


手鏡で愛子の様子を確認してみると、もう帰る準備を始めている。


その顔色は悪く、早く家に帰りたいのだろうとうかがえた。


でも、このまま愛子への恐怖を見届けないまま帰るのは嫌だった。


愛子の顔が恐怖に歪む瞬間を見たい。


どんな目にあうのか見てみたい。


そんな思いが強くなっていた。


なにより、確認しておかないと自分への損失がどんなものになるのか想像もできないからだ。
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