恐怖ダウンロード
「幽霊を見た?」


席に戻ってさっきの出来事を説明すると夢が眉を寄せて聞き返していた。


あたしは何度も頷く。


全身が寒くてまるで凍えるようだ。


「すぐ消えたけど、確かに見た」


自分の声が情けないくらいに震えている。


あんな恐ろしい顔の女、今まで見たことがない。


「それって損失なんじゃない?」


「え?」


「ほら、靖の時を思い出してよ。女の幽霊がいるって言ってたよね?」


あ……。


そう言えばそうだ。


靖には見えないなにかが見えていて、それから逃げ惑っていたっけ。


「今トイレで見たのが靖の損失だとしたら、残り3つもあるってことだよね?」


「そうだけど、ほら、やっぱり靖子は怪我をしてないでしょう?」
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