恐怖ダウンロード
☆☆☆

愛子が逃げていったあと、すぐに美紀は気がついた。


しかしもちろんそのままで学校に残るわけにはいかない。


大けがをした顔を隠すために大きなマスクをつけて、早退してしまったのだ。


「愛子の分だけ見られなかったね」


平和な昼食中、夢が残念そうに言った。


「そうだね。追いかけてみた方がよかった?」


「できれば目の前で見てみたいからね」


夢はウインナーを口に放り込んで言った。


イジメメンバーがいなくなったことでD組の教室はとても静かだった。


みんないつもよりも穏やかに過ごしているように感じられる。


「ねぇ2人とも、お弁当一緒にしてもいい?」


声をかけてきたのは田淵さんと和田さんの2人だった。


2人ともお弁当を持ってきている。


「もちろんだよ」


あたしと夢は同時に答えた。


2つの机で4人食べるのは少し窮屈だけど、こうして寄せ集まってご飯を食べるのはとても美味しいと感じた。


2年生に上がってから1度も経験してこなかったことだ。


「田淵さんたちはどんな本を読んでるの?」


質問すると、2人は笑顔で自分たちが好きな作品を教えてくれた。


最近映画化して話題の小説とか、あまり人気はないけれど個人的には好きな作品など。


2人は本当に沢山の本を読んできているみたいだ。
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