恐怖ダウンロード
☆☆☆

愛子の病室は4階のナースステーションの近くだった。


ナースステーションが近いということは、それくらい目が離せないということだと聞いたことがある。


病室へ入ると、愛子は手足に包帯を巻かれた状態で横になっていた。


寝むっていたみたいだけれど、物音に気がついて目を開けた。


しばらくぼんやりと天井を見上げていた愛子だけれど、あたしと夢を見た瞬間青ざめた。


逃げるように身をよじる。


「動かない方がいいんじゃないの?」


そう声をかけると、愛子は動きを止めた。


しかし青ざめた顔に変化はない。


その顔には恐怖の色が張り付いているのだ。


まるであたしたちが死神に見えているかのようで、おかしくなってくる。


「な、なにをしに来たの?」


愛子が震える声で言う。


「何ってお見舞いに決まってるじゃん」


夢が愛子のベッドに近づく。


愛子は警戒心をむき出しにして、また逃れようとしている。


「い、イジメてごめんなさい」


途端に愛子は頭を下げて謝ってきた。


あたしと夢は驚いて目を見かわせる。


まさか愛子があたしたちに謝罪するなんて思ってもいなかった。
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