恐怖ダウンロード
☆☆☆

どうってことのない損失が終わり、次の登校日が訪れていた。


すでに連絡網で靖の死は伝えられていたけれど、D組に流れている雰囲気はとても軽いものだった。


「自業自得だったんだよ」


「薬物やってたんだろ?」


「あんな狂ったヤツがいなくなって、ほんとよかったよなぁ」


笑い声すら聞こえてくる教室内。


靖が死んだことを悲しんでいる生徒は誰1人としていなかった。


陸に美紀に愛子も学校には来ていなくて、とても平和は時間が流れていく。


みんな入院中だと思うと、いい気味だった。


「今日は誰も学校に来てないから、何が起こるか見届けられないね」


休憩時間になると夢がつまらなさそうに言った。


「そうだね」


あたしは頷く。


愛子のときみたいに病院へ行ってみればいいけれど、せっかくの平和な時間を無駄にするのも嫌だった。


4人がいないことでクラスメートたちはしょっちゅうあたしたちに声をかけてくれるようになった。


友達同士でお菓子を配り合ったり、ドラマの内容を話したりする時間は、あたしと夢にとってとても久しぶりのものだったのだ。


「今日くらいはいっか」


夢はのんびりとした声でそう言ったのだった。
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