恐怖ダウンロード
なるべく人と関わらないようにしているのがわかって、あたしと夢は無理に愛子に近づかない方がいいのだろうかと思い、自分たちの席に戻った。


『なんか、昔よりも暗くなったよね』


あたしは夢にだけ聞こえる世に行った。


『だよね。中学時代も大人しかったけど、あんなに挙動不審じゃなかったよ』


愛子はキョロキョロと教室内を見回して、なにかに怯えたように不安そうな顔をしている。


そんな愛子を見て他のクラスメートたちも怪訝そうな表情になっている。


このままじゃ愛子はD組の中で浮いてしまうかもしれない。


そんな風に考えた時、美紀と陸が教室に入ってきた。


途端に夢が2人から視線を外す。


この時に、夢はすでに美紀にいい印象は抱いていないからだ。


あたしは美紀と陸の存在はよく知っていた。


派手な子たちで、自分たちの言いたいことを何でも口にだす。


敬遠されているものの、嫌われたら面倒くさい相手のため、みんな愛想笑いで付き合っているのだ。


なんにせよ、仲良くはなれない相手だった。


『あ、愛子じゃん!』


教室に入った美紀が愛子に近づいて行く。


『え、あの2人って仲いいの?』


意外な組み合わせに夢が驚く。


しかし、愛子は美紀を見た瞬間青ざめたのだ。


怯えた表情を隠せていない。
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