恐怖ダウンロード
そして学校が近付いてきた時だった。


同じ制服姿の生徒たちと混ざって歩いていると、前方に靖の姿を見つけた。


歩みは自然と遅くなる。


朝っぱらから見たくない顔だ。


できるだけ靖と距離を置いて歩いていた、そのときだった。


スマホを見ながら歩いていた靖が足もとのドブに気がつかず、はまってしまったのだ。


あたしはギョッとして立ち止まる。


同時に周囲から笑い声が聞こえてきて、思わず噴き出してしまった。


靖は慌てて足を引き上げたが、時すでに遅し。


白いスニーカーはドブ色に染まり、歩いて登校している生徒たちは靖から逃げるようにして通り過ぎている。


すごいところを見ちゃった。


笑いをこらえながら、足早に靖の横を通りすぎた。


幸い、靖はドブにはまってしまったことがショックだったようで、あたしには気がつかなかったのだった。
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