恐怖ダウンロード
教室へ入った瞬間、クラスメートたちの視線を感じた。


ある者は憐みの視線を。


ある者は見下した視線を。


ある者は興味のなさそうな視線を向ける。


その視線にからめとられたあたしは嫌な予感がして、夢と目を見かわせた。


そして美紀たちへ視線を向ける。


案の定、美紀たちはあたしたち2人を見てクスクスと笑い合っている。


トイレに行っている間になにかされたのは明白だった。


なんどもやられていることなのに、教室に入ったこの瞬間はとてもつもなく嫌な気分になる。


あたしたちの味方なんてどこにもいないのだと、突き刺さる視線に思い知らされるから。


自分の席へ戻った夢が大きく息を吐き出すのを見た。


夢の机の上にはお弁当箱が置かれている。


しかし、それは蓋をあけられ、逆さまになっていたのだ。


「夢……」


「大丈夫大丈夫。今日は食堂で食べたいと思ってたんだよね」


夢の明るい声に、安堵するクラスメート。


そしてつまらなさそうに舌打ちするクラスメート。


「そ、そっか。じゃあ行こうか!」


あたしは自分のお弁当を持って、夢と2人で教室を出た。


一刻も早くここから立ち去りたいと思った。


夢が無理して笑っている時間を少しでも減らしてあげたかった。
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