恐怖ダウンロード
☆☆☆

靖に怒鳴り返した時、気分はとてもスッキリとしていた。


たったこれだけで普段からのイジメをチャラになんてできないけれど、それでも晴れ晴れする。


しかし、それもだんだんと薄れていき、じきに後悔が襲ってきた。


「あんなこと言っちゃって、どうしよう……」


教室までの帰り道、あたしは落ち込んでしまっていた。


靖にあんなことを言ったらただじゃすまないことくらいわかっていた。


きっともっとひどいイジメを受けることになる。


考えただけで気分が悪くなってきてしまった。


「その時はあたしも一緒だから大丈夫だよ」


夢があたしの手を握って言った。


その温かさに少しだけホッとしたのだった。


しかし、予想に反して今日は平穏な一日を過ごすことになった。


イジメのリーダーである美紀が早く帰宅したため、他の3人も帰ってしまったのだ。


こんな放課後は久しぶりのことだった。
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