恐怖ダウンロード
「なぁんか、平和だね」


久しぶりに早く帰れることもあり、あたしと夢はのんびりと河川敷を歩いていた。


天気もいいし、川も綺麗だし、ベンチに横になって昼寝したくなってくる。


「本当だね。最近毎日放課後は呼び出しだったもんね」


夢が苦笑して言う。


毎日放課後になるとイジメられるなんて、あたしたちはどれだけ不幸なのだろうかと思ってしまう。


それでもこうして学校に行きつづけることができるのは、1人じゃないからだった。


「そうだ。ついでに宿題やっちゃおうかな」


ベンチに座り、鞄からプリントを取り出す。


今日の宿題はこれ1枚だからそんなに時間もかからない。


「いいね。2人でやったら早いよね」


夢も同意してプリントを取り出す。


さっそく問題を読んで行こうとした、その時だった。


強い風が吹いて、手元のプリントを舞上げたのだ。


「あっ!」


咄嗟に手を伸ばすが届かない。


プリントはどんどん風に飛ばされて、川に落ちてしまった。


このままじゃ流されちゃう!


慌てて川岸まで走り、靴と靴下を脱いで川に入った。


流れは穏やかで水もそれほど冷たくない。
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