恐怖ダウンロード
「靖子大丈夫?」


「平気平気!」


夢に片手をあげて見せてプリントを拾い上げた。


プリントはビショビショに濡れてしまって、乾かさないと使い物にならなくなってしまった。


「あ~あ、せっかく終わらせようとしたのに……」


こんなときに限って強い風が吹くなんて、つくづくついてない。


あたしは濡れたプリントを下敷きに張り付けた。


天気もいいし、こうしておくと勝手に乾くはずだ。


「スマホなってない?」


夢に言われて確認すると確かにスマホが光っていた。


「え?」


画面を確認して呟く。


「どうしたの?」


覗き込んできた夢にあたしはスマホ画面を見せた。


そこには赤い文字で『損失を与えました』と書かれているのだ。


あたしと夢は目を見かわせる。


そして今拾ってきたプリントを見つめた。
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