恐怖ダウンロード
あのアプリがあれば4人に復讐できるんじゃないかなんて、甘い期待を抱いていた。


夢は落胆したように天井を見上げた。


「やっぱりそうだよね。そんな都合のいいもの、この世にあるわけないよね」


「夢……」


夢は隠しているけれど、その目に涙が滲んでいるのが見えてしまった。


咄嗟に視線を外し、気がつかなかったふりをする。


「今日は早退しちゃおうよ!」


パッと笑顔を浮かべてあたしは言った。


「早退?」


夢がこちらへ顔を向ける。


「うん! これだけ頑張って登校してるんだもん、少しくらいサボったって大丈夫だよ」


そう言うと夢は瞬きを繰り返した後、ニッコリと笑った。


「そうだね。たまにはいいよね?」


「うん!」


あたしは大きく頷くと、右手にお弁当箱、左手で夢の手を握り締めて立ち上がった。


あの4人になにか言われる前に学校を出よう。


「行こう夢」


「うん!」
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