恐怖ダウンロード
☆☆☆

これは本物のアプリだ。


このアプリに写真をUPすれば、その相手に恐怖を与えることができるんだ。


教室へ戻ってからあたしはずっと心臓が高鳴っていた。


すごいものを手に入れてしまったということだけ、頭で理解している。


でもまだ現実味はない。


2度も目の前で起こった出来事を、まだ消化しきれていない。


「あの植木鉢、誰が置いたかわからないんだってさ」


教室内からそんな声が聞こえてくる。


靖のことはあっという間に知れ渡り、誰が植木鉢を窓の上に移動させたのか、という問題で持ちきりだった。


上の階は1年生の教室だったのだが、5時間目の授業が体育だったため教室には誰もいなかったらしい。


植木鉢は普段教室後方の棚に置かれていたもので、誰も移動していないという。


被害者である靖は鼻の頭を切ったようだけれどすぐに血は止まり、念のために早退していた。


そんなことがあったせいか、午後からの美紀たちはとても静かだった。


「損失がなんだったか、また明日教えてね」


帰り際の教室で、夢がそう声をかけてきたのだった。
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