恐怖ダウンロード
「聞いてんだよ!」


美紀が怒鳴ると同時に顎に痛みが走り、横倒しに倒れ込んでいた。


どうやら蹴られたらしい。


少しするとズキズキとした痛みを感じられた。


横で夢が小さく悲鳴をあげて両手で口を覆っている。


そんなにひどく蹴られたんだろうか?


一瞬の出来事だったから、自分ではよくわからなかった。


「あ~あ、ほんとこいつら見てるとイライラする。ねぇそうでしょう? 愛子」


「え、あ、うん! そうだよね!」


ずっとスマホで撮影していた愛子が慌てて愛想笑いをして頷く。


「なんかお腹も減っちゃったし、もう行こうよ」


美紀が陸の腕に自分の腕をからませて歩き出す。


それに続いて陸と愛子も慌てて教室を出ていった。


4人の足音が遠ざかっていくなか、顎の痛みは更に激しさを増していた。


緊張感が解けたせいだ。


「靖子、大丈夫?」


「なんとかね」


そう言って笑顔を浮かべると、痛みは増す。


しばらくはご飯を食べるのも大変そうだ。


「でもよかったね。今日は早く終わって」


あたしはそう言いながら立ち上がり、制服のヨゴレを払った。
< 7 / 230 >

この作品をシェア

pagetop