恐怖ダウンロード
☆☆☆

学校から出ると辺りは薄暗くなり始めていた。


でも、しばらく2人で泣いたから気分はスッキリとしている。


「明日もなにかされるのかなぁ」


夢が憂鬱そうな声で言う。


「そうだね……」


あたしは呟くように答える。


残念だけど、明日になったからと言って世界が変わるわけじゃない。


あたしたちへのイジメが一瞬になくなることなんてありえないのだ。


美紀たちはきっと次のターゲットが決まるまであたしと夢を徹底的にイジメるはずだ。


「でもさ、誰かがイジメられているのを見るよりもよくない?」


気分を変えるため、あたしは言った。


「そう……かもね?」


夢は顔をあげて答える。


例えばクラスメートの誰かが今日みたいにイジメられていたら。


それを知って何もできずにいたら。


あたしはきっとそっちの方が嫌だと感じるだろう。


夢も同じだ。


誰かがイジメられるくらいなら、自分がイジメられた方がマシ。


そう考えている。


だからこそ、あたしたちは今こんな目にあっているのだから。
< 9 / 230 >

この作品をシェア

pagetop