人権剥奪期間
生徒たちの登校時間が近づくに連れて落ち着かない気分になってきた。


でも、昨日に比べたら少しだけ気分が楽だ。


昨日は要領がわからず、聡介とあたしは毎時間授業にしっかり参加しようとしていた。


しかし、他のメンバーを合流することで授業の参加は強制ではないとわかった。


学校から出ることはできなくても、それがわかっただけでも随分違う。


「よし、少し寝よう」


大志がベッドに横になる。


「隠れないの?」


花子が不思議そうな顔で聞く。


「普段、登校時間中は保健室は開いてないから大丈夫だろ」


そう言われればそうだったかもしれない。


まだ保険の先生も来ていないから、まさかここにあたしたちがいるとは誰も思わないだろう。


「このまま1時間目の休憩時間になるまではやり過ごせるはずだ」


そう言う大志の声はどんどん小さくなっていき、やがて寝息に変わったのだった。
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