人権剥奪期間
☆☆☆

気がつくとあたしたち5人は全員眠ってしまっていた。


いくらエナジードリンクを飲んでいても、昨日の疲れには勝てなかったみたいだ。


そんな中突然保健室の電気がつけられてあたしは飛び起きていた。


眩しさに目を細めていると「あなたたち、生きてたのね」と、保険の先生の声が聞こえてきた。


すぐにドアは閉められ、鍵もかけられる。


「全員いる? よかった」


先生があたしたちの顔を確認して泣きそうな顔で微笑んだ。


「食べ物も買ってきたんだけど、ちゃんと食べたみたいね」


ゴミ箱の中に入っているおにぎりの袋を確認して先生は頷いてる。


時計を確認するとすでに授業が始まっている時間だ。


休憩時間に入るまで残り15分を切っている。


あたしはすぐに他の4人を起こした。


ずっと眠っていて捕まったんじゃシャレにならない。


「もうこんな時間か」


目を覚ました大志はさっそくストレッチをはじめている。


あたしも少しは体を動かしてならしておいた方がいいかもしれない。


そう思って立ち上がり、足を伸ばす。


そのとき舞が真剣な表情でスマホをいじっているのが視界に入った。


一瞬あたしと視線がふつかるがすぐにそらされてしまう。


まるで何かを隠しているように感じられてあたしは首をかしげた。


今スマホを確認したってろくな情報は入ってきていないはずだ。


人権を剥奪されたあたしたちへの誹謗中傷メッセージが絶え間なく送られてきているくらいなものだ。


それとも、家族と連絡でも取っているんだろうか?


それなら別に隠さなくてもいいのに。
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