人権剥奪期間
その刃物は昨日先生が持っていたものよりも大きくて、あたしの体に深く食い込んでいるのがわかった。
あたしは咄嗟に竜也の手を握り締めた。
それを抜かないで。
そう願いをこめて竜也を見つめる。
竜也は一瞬瞳を泳がせたが、すぐに突き刺さっている刃物へ視線を向けた。
そして、一気に引き抜いたのだ。
途端に血があふれ出す。
痛みがあたしの体を電光石火に貫き、吐き気がしたと思ったら血を吐いていた。
叫ぶことも、抗うこともかなわないまま、横倒しに倒れこんだ。
竜也たちの顔がかすんで見える。
どうして?
信じていたのに。
どうして?
意識を失う寸前、あたしは夢を見ていた。
竜也と付き合い始めてすぐの頃、2人で人気映画を見に行ったときのこと。
それはアクション映画で、スクリーンの中で俳優たちが走りまわり派手なアクションをしていた。
それを見終わったとき、竜也は興奮した様子で言った。
『俺、絶対に映画監督になる!』
目を輝かせて未来を夢見る竜也がかっこよかった。
心のそこから応援したいと思った。
『うん! あたしどんなことでも力になるよ!』
あたしはそう答えたんだ。
だから、竜也は、あたしを……。
そこまで考えたとき、あたしの意識は途切れた。
あたしは咄嗟に竜也の手を握り締めた。
それを抜かないで。
そう願いをこめて竜也を見つめる。
竜也は一瞬瞳を泳がせたが、すぐに突き刺さっている刃物へ視線を向けた。
そして、一気に引き抜いたのだ。
途端に血があふれ出す。
痛みがあたしの体を電光石火に貫き、吐き気がしたと思ったら血を吐いていた。
叫ぶことも、抗うこともかなわないまま、横倒しに倒れこんだ。
竜也たちの顔がかすんで見える。
どうして?
信じていたのに。
どうして?
意識を失う寸前、あたしは夢を見ていた。
竜也と付き合い始めてすぐの頃、2人で人気映画を見に行ったときのこと。
それはアクション映画で、スクリーンの中で俳優たちが走りまわり派手なアクションをしていた。
それを見終わったとき、竜也は興奮した様子で言った。
『俺、絶対に映画監督になる!』
目を輝かせて未来を夢見る竜也がかっこよかった。
心のそこから応援したいと思った。
『うん! あたしどんなことでも力になるよ!』
あたしはそう答えたんだ。
だから、竜也は、あたしを……。
そこまで考えたとき、あたしの意識は途切れた。