人権剥奪期間
「予定通り、死体を捨てるぞ」


大志は舞の体を抱え上げようとする。


しかし、力を失った人間は重たくてうまくいかない。


「おい、手伝え! そのためにここに来たんだろ!」


言われてハッと我に返った。


そうだ。


死体を放置してはおけない。


あたしはグッと奥歯をかみ締めて立ち上がり、舞の右足を持ち上げた。


左足を花子が持ち、大志は肩を持つ。


そのまま窓辺へと運んで、一気に外へと落下させた。


舞の体はコンクリートに打ち付けられ、グシャッと嫌な音を立ててつぶれた。


舞の血でぬれたあたしは呆然としてそれを見つめていたのだった。
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