人権剥奪期間
「でも、どうして急にここに来ようと思ったの?」
花子がそう聞いた。
すると大志は真剣な表情になり「昨日の夜、保健室に誰かが入ってきたらしい」と、答えたのだ。
「え?」
あたしは目を丸くして聞き返す。
そんな話、聡介から聞いてない。
「1度保健室のドアを空けようとして鍵がかかっていることに気がついた相手は、鍵を持ってもう1度戻ってきたらしい」
「嘘でしょ……」
開いているはずの鍵が閉まっていたから、そこに商品が隠れていると考えたんだろう。
あたしは血の気が引いていくのを感じた。
「聡介は咄嗟にベッドの下に隠れたからなにもなかったらしいけど、今夜も同じように逃げ切れるかどうかわからない。だから拠点を屋上へ移したほうがいいと思ったんだ」
あたしは何も答えられなかった。
昨日聡介が危険な目にあっていたなんて、思ってもいなかった。
きっと、無駄に心配をかけたくないから大志にだけ伝えたのだろう。
「これから聡介と食料を屋上に移動させる。手伝ってくれるか?」
大志の言葉に、あたしと花子は同時に頷いたのだった。
花子がそう聞いた。
すると大志は真剣な表情になり「昨日の夜、保健室に誰かが入ってきたらしい」と、答えたのだ。
「え?」
あたしは目を丸くして聞き返す。
そんな話、聡介から聞いてない。
「1度保健室のドアを空けようとして鍵がかかっていることに気がついた相手は、鍵を持ってもう1度戻ってきたらしい」
「嘘でしょ……」
開いているはずの鍵が閉まっていたから、そこに商品が隠れていると考えたんだろう。
あたしは血の気が引いていくのを感じた。
「聡介は咄嗟にベッドの下に隠れたからなにもなかったらしいけど、今夜も同じように逃げ切れるかどうかわからない。だから拠点を屋上へ移したほうがいいと思ったんだ」
あたしは何も答えられなかった。
昨日聡介が危険な目にあっていたなんて、思ってもいなかった。
きっと、無駄に心配をかけたくないから大志にだけ伝えたのだろう。
「これから聡介と食料を屋上に移動させる。手伝ってくれるか?」
大志の言葉に、あたしと花子は同時に頷いたのだった。