人権剥奪期間
あたしと花子は感極まってその場で抱き合って喜んだ。


「おい、朝飯食うぞ」


大志の声に振り向くと、聡介と大志はすでにおにぎりを口いっぱいにほおばっていた。


もう何日も持ち歩いているおにぎり。


お米はパサパサで、あまりおいしくない。


けれどあたしと花子はそれに飛びついた。


口にほお張ると梅干のすっぱさとおいしさがジワジワと広がっていく。


今まで食欲なんて少しも出なかった。


それでも無理をして食べていた。


それなのに、今はおいしいと感じられた。


もっと食べたいと思い、二つ目に手を伸ばす。


ボロボロと涙をこぼしながら、あたしはおにぎりをほお張り続けたのだった。
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