人権剥奪期間
「おい開けろよクソあま!」


ガンッ!!


怒鳴り声と同時にドアが蹴られ、激しく揺らいだ。


思わず悲鳴を上げてしゃがみこむ。


それでもドアは蹴られ続けた。


いつか壊れてしまうんじゃないかという恐怖がわきあがってくる。


その時、授業終了のチャイムが聞こえてきて、ドアの向こうで軽い舌打ちが聞こえてきた。


「女2人でいつまでも逃げ切れると思うなよ?」


そんな声が聞こえてきた後、階段を下りていく足音がした。


それが聞こえなくなったとき、ようやく大きく息を吸い込んだ。


ずっと呼吸を止めてしまっていたのだ。


「……仕方なかったんだよ」


花子がその場に座り込んで呟いた。


「ドアを開けてたら、あいつは屋上に来てた。だから仕方なかったんだよ!」


それは自分自身に言い聞かせている言葉で、花子は肩を震わせて泣いていたのだった。
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