人権剥奪期間
☆☆☆

これであたしたちが屋上にいることがバレてしまった。


きっと、先生たちにもバレていることだろう。


せっかく安心していられる場所を確保できたと思っていたのに、また振り出しに戻ってしまった。


一度だけトイレに向かったとき、階段の途中で大志が死んでいるのを見つけた。


体中あちこちに切り傷があったけれど、ひときわ大きな傷は足の腱と首だった。


最初に腱を切って歩けなくして散々切り刻んだ後、殺したようだ。


あたしは天井を見上げて涙を抑えた。


こんなむごい殺し方をするなんて、人間じゃない。


本当なら放課後の時間を使って大志の遺体を回収してあげたかったけれど、そんな気力も残されていなかった。


やっぱりどこにいてもあたしたちに安息の地はないんだろうか。


屋上に戻ってぼんやりと星空を見上げていると、狩の時間を知らせるアナウンスが流れ始めた。


あたしはゆっくりと視線をめぐらせて花子を見た。


花子はあれからずっと泣いていて、とても逃げられるような状態じゃなかった。


聡介にしてもそうだ。


ようやく歩けるようになったばかりで、ここに先生が来たらひとたまりもない。
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