人権剥奪期間
☆☆☆

それから2時間ほど眠った聡介はスッキリとした表情で目を覚ました。


その頃には廊下の喧騒は掻き消えていて、とても静かになっていた。


「今なら行けるかもしれない」


あたしはそう言い、そっと相談室のドアを開いた。


廊下を確認してみるが、そこには誰もいなかった。


チャンスだ!


あたしは素早く相談室を出て階段へと向かった。


聡介もそれについてくる。


足の調子はすっかりよくなったみたいだ。


階段の上部に誰もいないことを確認し、足音を殺してあがっていく。


先生も警察の人間ももう撤収したのか、学校内は不気味なくらいに静かだった。


そして階段を上がりきったときだった。


空き教室へと視線を向けた瞬間、屋上へ続く階段から警官の制服を着た男が降りてきたのだ。


ヤバイ!!


咄嗟に階段を駆け下りる。


警官はこちらを見ていなかったけれど、もしかしたら視界に入っていたかもしれない。
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