人権剥奪期間
走りながら振り返り、誰も追いかけてこないことを確認する。
しかし足は緩めずに2階のトイレへと駆け込んだ。
聡介が遅れてついてくる。
「誰かいたのか?」
2人で個室に逃げ込んで鍵をかけたとき、聡介が息を切らしてそう聞いてきた。
「警官がいた。まだ屋上を見張ってるみたい」
「そっか。じゃあ3階には近づけないんだな」
あたしはうなづき、深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。
一気に走ったせいでまた汗が噴出してきていた。
「たぶん見られてないと思うけど、今日は動き回らないほうがいいのかも」
むやみに動いて捕まってしまえばすべて終わりだ。
せっかくここまで逃げ切ったのに、そんなことにはなりたくなかった。
あたしはもう一度スマホを確認した。
花子からのメッセージは追加で送られてきていない。
これが本物のメッセージなら今でも待っていることだろう。
あたしはグッとスマホを握り締めた。
花子と合流したいという気持ちをグッと押し込める。
花子だっていつ捕まるのかわからない状況だ。
きっと、空き教室で待っていてくれているはずだ。
あたしはそう信じるしかなかったのだった。
しかし足は緩めずに2階のトイレへと駆け込んだ。
聡介が遅れてついてくる。
「誰かいたのか?」
2人で個室に逃げ込んで鍵をかけたとき、聡介が息を切らしてそう聞いてきた。
「警官がいた。まだ屋上を見張ってるみたい」
「そっか。じゃあ3階には近づけないんだな」
あたしはうなづき、深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。
一気に走ったせいでまた汗が噴出してきていた。
「たぶん見られてないと思うけど、今日は動き回らないほうがいいのかも」
むやみに動いて捕まってしまえばすべて終わりだ。
せっかくここまで逃げ切ったのに、そんなことにはなりたくなかった。
あたしはもう一度スマホを確認した。
花子からのメッセージは追加で送られてきていない。
これが本物のメッセージなら今でも待っていることだろう。
あたしはグッとスマホを握り締めた。
花子と合流したいという気持ちをグッと押し込める。
花子だっていつ捕まるのかわからない状況だ。
きっと、空き教室で待っていてくれているはずだ。
あたしはそう信じるしかなかったのだった。